鉄舟会では書を併修いたします。しかし、通常の書道とはいささか趣が異なります。
禅宗では「今」ということを大変重視し、その瞬間に己の全てを集中させます。それを書をもって体現しようということです。
実際書いてみると、一画の線を引くのでもこれが思うようにいきません。
筆を下したところまでは良いとしても、横一画を書こうと筆を運筆した瞬間に、気持ちが終わりの収筆に移ってしまったりします。
起筆から一気に筆を走らせ、本人はいかにも気合が入ったつもりでも、書かれた線は粗い線になってしまったりします。そうかといって、粘って運筆すれば、筆も墨も紙も殺されてしまいます。
スムーズな筆運びでありながら、一瞬一瞬に気が通った線は強く澄んでいます。それは坐禅の定力そのものです。