坐禅をして、なるほどと思うには時間がかかります。年の単位です。しかし、取り掛かりを間違えてしまうと、何年やってもはかばかしくないのです。坐禅を始める人にはここを強く意識していただきたいのです。
自転車に乗ることを考えてください。
はじめての子供に普通の自転車を与えて山の岩のごつごつとしたところで練習させたらどうなりますか?結果は明らかですね。大抵は挫折してしまうでしょう。初めて自転車に乗るためには平坦で障害物のないところで練習するのが一番ということもお分かりですね。
坐禅も同じです。
山の斜面というのが、坐禅のしにくい周囲環境です。たとえば、家族がワイワイしているところよりも、全員が寝静まったときの方がやりやすいですね。そして、岩というのは雑念です。
これらを整備しないと成るものも成らないのです。
頭ではわかっていると思いますが、実際にはこの二つに邪魔されて長続きしないことが多いようです。意志が弱いから長続きしないというよりは、環境を整備しないから長続きしないというのが本当です。
環境を整備するということは段取りということです。坐禅にもこの段取りが必要なのです。
坐禅ができる環境を整え、障害を排除することに力を費やさなければいけません。
例えば、家族全員の寝ている時間を使うとかです。
早起きをするのであれば適当な時間に寝なければなりません。夜中の1時まで仕事をして朝5時から坐るなどということも若い時分にはやりましたが、やはり長い目でみますと特に初心者には障害です。仕事のキリをつけるという段取りが必要なのです。
雑念については,原田祖岳老師が推奨されておりますが、坐禅中、仕事のことなど、気になることを、全部メモに書き留めるのも一つの方法です。
書き留めることで一区切りつくようです。それ以上そのことが沸き起こることはありません。
そして、浮かんだことを書き留めていくと、もうその日は沸き起こるネタがなくなってしまうのでしょう、自然と雑念は止みます。それからが坐禅となっていきます。
このようなことを丁寧に準備することが坐禅を長続させるコツです。